CONSUMER SUPPORT

2012.12.25

火曜日限定コーナー「コンシューマー・サポート」では、
「消費者問題」をキーワードに、
消費者問題の専門家や有識者をゲストにお迎えして、
被害の実態・問題点・救済方法をわかりやすくお届けしていきます。
第4回目のテーマは「インターネットで起こる高額な消費者被害」です。

  
スタジオには、弁護士の「内村和朝」さんを お迎えしました。
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Q.今日のテーマ「インターネットで起こる高額な消費者被害」というのは、
どんな被害があるんでしょうか?

A.「インターネットで起こる高額な消費者被害」の代表例として、
【ドロップシッピング・アフィリエイト】に関する被害があります。

Q.まず、「ドロップシッピング」について教えて下さい。

A.自分のウェブサイトに商品を掲載し、商品の申込があった場合、
卸業者に取り次いで、卸業者から申込者へ商品を直送するというものをいいます。
簡単にいうと、在庫を持たないネット上にある自分の店といえます。

Q.もうひとつ、「アフィリエイト」も教えて下さい。
A.提携先の商品広告を自分のウェブサイト、ホームページやブログなどに掲載し、
その広告をクリックした人が提携先から商品を購入するなどした場合、
一定額の報酬を得られるというものをいいます。
最近個人のホームページやブログを見ると、横に商品広告が掲載されていたりしますよね。

Q.では、その「ドロップシッピング」や「アフィリエイト」を通して、
どのような被害が出ているのでしょうか?

A.最近問題となっているドロップシッピングに関する被害は、
一部の業者が
 ・ 業者が作成したウェブサイトで商品を販売すれば高収入が得られる
 ・ 購入希望者からの注文処理や掲載商品を選ぶだけの簡単の仕事
 ・ 商品の発送等の手続きは、業者が全ておこなう
 ・ 手軽にできる副業
との触れ込みで消費者を勧誘し、消費者にホームページ作成費用や、
入会金名目で高額な契約を結ばされるというものです。
勧誘時には、気軽に簡単にでき、ホームページ更新などもサポートもすると言いながら、
その後のサポートがないケース、
実際に掲載できる商品・商品数が勧誘時に説明されたものと違うケースといった、
勧誘時の説明に起因するトラブルが多いです。
私が経験したケースでも、勧誘時には
健康食品以外に電化製品やゲーム機、人気ゲームソフトを取り扱うことができると説明があったが、
実際には健康食品しか取り扱えなかったというケースがありました。

アフィリエイトに関する被害もほぼ同様で、勧誘時には、
気軽に簡単にできる副業などと説明しておきながら、その後のサポートがないケース、
ホームページ作成費用や、入会金名目で高額な契約を結ばされるというものです。

Q.これって詐欺ですよね? 被害金額はどの程度なんでしょうか? 

A.50万円から100万円までが中心ですが、100万円、200万円というケースも珍しくありません。
これだけの支払いに見合う収入が得られれば、まだマシと言えますが、
悪質な業者と契約した場合、初期投資を回収できるだけの収入が得られないケースが大半です。

Q.実際にどのような人が被害にあわれているんでしょうか?

A.20代から40代が多いです。反対に60代以上の高齢者はあまりありません。
やはりインターネットに関連する被害ですので、若い世代の方が被害に遭われています。
あと、手軽にできる副業との触れ込みで勧誘されていますから、
サラリーマンや専業主婦の方の被害が多いです。

私が相談を受けたり、事件を受任した中では、
自営業を営んでおられる方はいなかったです。
やはり、サラリーマンや主婦の方が副業に関心を持ちやすいのかもしれません。

Q.そういう被害にあった方に対して、
これまでどのような被害救済がなされていますか?
消費者にとって有利な裁判例などはあるんでしょうか?

A.ドロップシッピングについては、昨年(平成23年)の3月に、
特商法の業務提供誘引販売に該当するとして
クーリング オフを認めた大阪地方裁判所の裁判例があります。
この裁判例では、業者との間のホームページ作成費用などにつき、
クーリング オフによる契約の解消を認め、消費者側の請求を全額認めています。
つまり、支払った金額全ての返還を認めています。

Q.「ドロップシッピング」や「アフィリエイト」に関する
被害に遭わないための対処法はありますか?

A.対処法としては、まず、高額な費用が必要だと業者が言った場合は、
なぜそのような費用が必要なのかを十分慎重に検討することが大事だと思います。
「必ず利益になる」、「高額な費用はすぐに回収できる」などという
業者の甘い言葉には注意が必要です。
次に、業者が提供しているサービスの仕組みや、契約内容について十分説明を受け、
理解することも重要です。そうすることで、
「知らなかった」、「聞いていなかった」というトラブルを防ぐことができると思います。

Q.では、今回のような「ドロップシッピング・アフィリエイト」に関する
被害にあったかもしれないと思った時は、どうすればイイですか?

A.京都弁護士会のご相談ください。
弁護士会では消費者被害専門の相談を設けています。
消費者被害相談では。消費者被害事件に対応できる弁護士が相談にあたっています。
京都弁護士会へのお問い合わせは、
電話 京都075-231-2378です。

また、京都府消費生活安全センター,各地センターへの相談も有用です。

「コンシューマー・サポート」。
このコーナーは,
京都府から京都消費者力向上委員会が委託を受けてお届けしています。

京都消費者力向上委員会は,
・京都府生活協同組合連合会、
・京都生活協同組合、
・コンシューマーズ京都(京都消団連)、
・適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
以上の団体で構成された「消費者の消費者力が向上する活動を行う」委員会です。

消費者被害にあった場合には,
京都府消費生活安全センターへご相談下さい。

また,適格消費者団体京都消費者契約ネットワークでも
差し止め請求のための情報提供を受け付けています。
詳しくは,各ホームページをご覧ください。

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