Consumer Support
火曜日限定コーナー「コンシューマー・サポート」では、
「消費者問題」をキーワードに、専門家や有識者をゲストにお迎えして、
被害の実態・問題点・救済方法をわかりやすくお届けしていきます。
第10回のテーマは「マルチ商法で友達を裏切るな」です。
スタジオには、弁護士の「平尾嘉晃」さんをお迎えしました。
Q.今日のテーマ「マルチ商法で友達を裏切るな」ですが、
そもそもマルチ商法とはどういうものがあてはまるのでしょうか?
A.まず、マルチ商法を勧誘する人が、
「うちはマルチ商法をやっています。一緒にマルチをやりませんか。」と勧誘することはありません。
だいたい「ネットワークビジネス」という言葉を使う勧誘者が多いです。
この「ネットワーク」という言葉は、
参加者を集めるとか、人と人とのつながり、口コミ、といった意味で使っているようで、
この「ネットワーク」こそがマルチ商法の本質にかかわってきます。
Q.ネットワークビジネスについてもう少し教えていただけますか?
A.マルチ商法、ネットワークビジネスとは、
要は、「人を勧誘したらお金がもらえる」というビジネスです。
そして、自分が勧誘した子供の会員が さらに孫会員を勧誘してもお金が入ってくるようにし、
自分の系列下の会員が増えるほど、入ってくる報酬がどんどん増えるようなシステムになっています。
このように、人と人がネットワークでつながり ピラミッド型に増殖していくのが、
マルチ商法の本質をいえます。
Q.どのような人達が被害にあっているのでしょうか?
A.若い人でも、高齢者でも、主婦でも被害に遭います。
人集めが必要なので、本業で忙しい人は被害に遭わないとは思いますが。
Q.誰でも引っかかる可能性があるということですね。
たとえば、どのような勧誘方法で被害に遭われているんですか?
A.まず、「新しいビジネスがある。今、その参加者を限定○○人で集めている。
あなたも今このチャンスに参加しませんか。」といった勧誘のパターンがあります。
こうしたパターンで被害に遭うのは 比較的若い人達が多いです。
特にIT関連の新規ビジネスというと、若い人達はひっかかりやすいですね。
他にも新開発のソフトやコンテンツなどを商品にするケースも多いです。
また、高齢者向けのマルチの場合は、健康食品や健康器具を商品としたパターンが多いです。
北海道でしか採れない遠赤外線の出る石とか、健康に良い水とかがありましたね。
ナントカ波動水とか言ってましたが...
Q.色んな手を使ってくるんですねー。
じゃあ、マルチ商法にひっかからないためには、どういうことに気をつければイイですか?
A.まず、ビジネスや商品が、本当にあるかどうかで区別してはいけません。
マルチ商法でも、新規ビジネスや商品は存在します。
それすらなければ、マルチ商法以前に、ねずみ講になってしまい、
完全に犯罪になってしまうからです。
もちろん、マルチ業者が用意する新規ビジネスや商品は、
それだけでは儲けにならないものがほとんどです。
しかし、商品などの良し悪しを見極めるのは困難ですし、
マルチ業者もすぐに欠陥がばれるような商品を使いません。
ですから、その新規ビジネスや商品が良いか悪いかで判断しようとすると、
まず、相手の術中にはまってひっかかるでしょう。
Q.では、より どこに気をつけるべきですか?
A.最初に言ったとおり、マルチ商法、ネットワークビジネスとは、
要は、「人を勧誘したらお金がもらえる」というビジネスです。
ですから、マルチ商法の勧誘の場合、
最初はビジネスや商品の説明であっても、
かならず、途中から、人集めによる報酬の話になっていきます。
それこそ、「このビジネスの参加者を限定○○人で集めている。
あなたも今このチャンスに参加しませんか。」から始まって、
あなたのお友達も誘ってあげましょう、という話になっていくのです。
このような、人集めによる報酬の話が出てきたら、100%マルチ商法と言えるでしょう。
Q.分かりました。つまりは、今日のタイトルである、
「マルチ商法で友達を裏切るな」につながってくるわけですね!
A.マルチ商法の怖いところは、これに参加したら、今度は自分が勧誘する側になるということです。
つまり、参加したとたん、今度は自分が人を騙す側になってしまいます。
そして、いち消費者が人を勧誘しようとすれば、
必然的に、自分の身内や友達を勧誘することになってしまうのです。
また、マルチ商法で使われる新規ビジネスや商品は、
本来、それだけでは商売として成り立たないものがほとんどです。
ですから、ある程度時間が経てば 新しい会員の獲得が難しくなって破綻し、
最後の方に加入した人達が損をするということになります。
だいたい、マルチ業者は、3~5年ほどの周期で、次々と名前を変えていくことが多いようです。
このように、お金の関係で 損をしたり、損をさせられたりと、
友達関係はずたずたになっていきますね。
Q.これまでに、どのような被害救済がなされてますか?
A.学生相手のマルチ事件では、
弁護士からの告発で警察の捜査が入り、被害回復できたケースもあります。
しかし、マルチ業者は、一定の周期で古い会社を放置して新しい会社を作っていく傾向があるので、
時間が経ってから被害金額を取り戻そうとすると難しいところがあります。
なにより、マルチ商法、ネットワーク商法に対しては、
それを取り締まる法律の強化が必要だと思います。
人集めで報酬が入るという仕組みについては、全面的に禁止するべきだという、
社会の声が必要で、こうした声こそが将来の被害救済につながるものだと考えます。
Q.では、今まさに被害にあったと思った場合には、どこに相談にいけばいいですか?
A.京都弁護士会のご相談ください。弁護士会では消費者被害専門の相談を設けています。
消費者被害相談では。消費者被害事件に対応できる弁護士が相談にあたっています。
京都弁護士会へのお問い合わせは、
電話 京都075-231-2378です。
また、京都府消費生活安全センターへの相談も有用です。
このコーナーは,
京都消費者力向上委員会が京都府から委託を受けてお届けしています。
京都消費者力向上委員会は,
・京都府生活協同組合連合会、
・京都生活協同組合、
・コンシューマーズ京都(京都消団連)、
・適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
以上の団体で構成された「消費者の消費者力が向上する活動を行う」委員会です。
消費者被害にあった場合には,京都府消費生活安全センターへご相談下さい。
また,適格消費者団体京都消費者契約ネットワークでも
差し止め請求のための情報提供を受け付けています。
詳しくは,各ホームページをご覧ください。