Consumer Support
火曜日限定コーナー「コンシューマー・サポート」では、
「消費者問題」をキーワードに、専門家や有識者をゲストにお迎えして、
被害の実態・問題点・救済方法をわかりやすくお届けしていきます。
最終回となる今日第13回目のテーマは「投資信託のトラブルについて」です。
スタジオには、弁護士の「若宮隆幸」さんを お迎えしました。
Q.早速ですが、今日のテーマ「投資信託のトラブル」について教えて下さい。
A.証券会社や銀行などで「投資信託」が販売されているのは皆さんご存知だと思います。
銀行で売られていることもあって安全な商品と思われがちですが,
実は投資信託といっても,比較的安全性の高いものから
大きく元本割れする可能性があるものまで様々なものがあって,
そのような商品内容を十分理解していなかったり,誤解して購入してしまい,
損失が発生してトラブルになるケースがあります。
Q.確かに投資信託という言葉をよく耳にするようになりましたが、
最近こういったトラブルは多いんですか?
A.投資信託に関するトラブルの相談は増えていますね。
「貯蓄から投資へ」という言葉がありますが,
その流れで銀行などの金融機関が販売に力を入れています。
それによって投資信託の購入者が増えて,それに連れてトラブルも増えているのだと思います。
Q.確かに最近銀行に行ったらいろいろな投資信託のパンフレットがおいてあったりしますよね。
そもそも投資信託というのはどういうものなのでしょうか?
A.投資家から集めたお金を,専門家が株式や債券などに投資して運用し,
その成果を分配するという仕組みの金融商品です。
専門家に運用してもらうので手軽ですが,その代わりに手数料を支払うことになります。
Q.投資信託には いろいろな種類のものがあるんですか?
A.おおざっぱに言うと,何に投資するのかで種類が分かれます。
株式に投資するもの,社債などの債券に投資するもの,
不動産やデリバティブといわれる金融派生商品に投資するもの,などがあります。
国内だけではなく,海外に投資するものもあります。
分配や満期の償還のルールによっても色々種類が分かれます。
Q.投資信託のどういった点が問題になるのでしょうか?
A.投資信託と一口で言っても,商品の内容や仕組みは本当に様々で,
それによってリスクも様々なのですが,そのことが素人にはわかりにくいのが問題だと思います。
複雑な商品になるとよく相談を聞いている我々でも すぐには理解できないようなものもあります。
また,預貯金と違って基本的に元本割れのリスクがあるのですが、
そのこともちゃんと理解されていないケースも多いです。
状況によっては元本が半分以下になってしまった,なんてこともあるんですよ。
Q.半分以下になってしまうこともあるんですか。そう聞くとなんだか怖いですね。
銀行や証券会社が販売しているから安心して購入される方も多いと思うのですが...
A.銀行が販売しているケースでも,弁護士が相談を聞く事例の中には,勧誘方法に問題があったり,
リスクの説明が不十分だったと思われるような問題のある事例も少なくありません。
そもそも商品自体が複雑すぎて普通はリスクが理解できないだろう,と思うような商品が売られていることもあります。
Q.具体的にはどんなトラブルがあるんですか?
A.例えば,ノックイン型投信と呼ばれるものについてのトラブルがあります。
これなんかは仕組みがすごく複雑でわかりにくい上に,
元本を大きく割ってしまう可能性があるものが多いんです。
ところが,こういうものが,安全とかローリスク,といって勧誘されていたりします。
元本割れしない,と誤解して買ってしまった人もいます。
Q.実際どのような人がトラブルにあわれているんでしょうか?
A.やはり高齢者の方が多いですね。
国民生活センターの投資信託についての相談は およそ8割が
60歳以上の方が契約されているケースということです。
私が相談を聞いたケースもほとんどが高齢者の方です。
ひどい例では,先ほどのノックイン型投信のような複雑な商品が,
認知症の高齢者とか,判断能力や理解能力が不十分な高齢者の方に売られていることもあります。
Q.トラブルに遭わないためにはどうしたらいいのでしょうか?
A.まずは投資信託は元本保証ではない,リスクがあるということをしっかり認識しないといけません。
元本保証を希望するのであれば、投資信託は契約しない方がいいです。
また,契約しようとしている投資信託がどういう仕組みのものなのか,
どういうリスクがあるものなのかを理解できなければ契約しないことです。
Q.わからないものは買わないことが大事なんですね。
A.そうですね。銀行で売っているんだから滅多なことはないだろう,
という先入観を捨てることも必要だと思います。
判断能力が不十分な高齢者の方については,周りの人が注意して気にかけておく必要もありますね。
Q.分かりました。
では、ひょっとして投資信託のトラブルに遭ってしまっているんじゃないかと
思ったときにはどうすればいいですか?
A.あれ,おかしいな,と思ったら早めに弁護士に相談してもらうのがいいと思います。
京都弁護士会では消費者被害専門の相談を設けています。
消費者被害相談では。消費者被害事件に対応できる弁護士が相談にあたっています。
京都弁護士会へのお問い合わせは、
電話 京都075-231-2378です。
また、京都府消費生活安全センター,各地センターへの相談もできます。
とにかく相談してみてください。
「コンシューマー・サポート」。
このコーナーは,京都府から京都消費者力向上委員会が委託を受けてお届けしています。
京都消費者力向上委員会は,
・京都府生活協同組合連合会、
・京都生活協同組合、
・コンシューマーズ京都(京都消団連)、
・適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
以上の団体で構成された「消費者の消費者力が向上する活動を行う」委員会です。
この「コーナー」は今日で終了となりますが、
これまでご紹介してきたような消費者被害にあった場合には,
京都府消費生活安全センターへご相談下さい。
また,適格消費者団体京都消費者契約ネットワークでも
差し止め請求のための情報提供を受け付けています。
詳しくは,各ホームページをご覧ください。